最近「チューブレスタイヤ」や「チューブレスホイールのリムの種類や取扱い」についてのお問い合わせが増えてきましたので、改めて「チューブレス」を詳しく説明します。
まずは一般的に使用されることの多いクリンチャー(チューブ入りのタイヤ)と比較しながら見ていきましょう。

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まずはメリットについて

①チューブレスタイヤはチューブ入りタイヤに比べ、転がり抵抗が20%低減し走行性能が向上します。
②チューブが無いのでリム打ちパンクをすることがなく、空気圧のセッティングの幅が広がります。低圧での走行を可能にすることで乗り心地が大きく改善されます。
③チューブレスタイヤはエアーシール層とタイヤが一体になっており、パンクの際もチューブのように一気に空気が漏れるということがなく緩やかに空気が漏れていきます。そのため、転倒などのリスクを回避することができます。

このように、チューブレスタイヤには様々なメリットがあります。あまり意識されていませんが、皆さんが普段使われるバイクや車など、自転車以外ではチューブレスタイヤは一般的になっています。 

デメリットについて
チューブレスは「タイヤがなかなかはめられない」「空気が入らない」などの記事をよく見かけますが、各メーカーから取扱い説明書が用意されていますので、手順通りに作業を行えば問題無く使用することが出来ます。


ホイールのリムの種類や規格について

一言で"チューブレス"といっても様々な規格、名称があって混乱してしまう方も多いと思うので、まずはリムの違いを説明していきます。

◆チューブレスレディーのリム

チューブレステープ、チューブレスバルブ、シーラント剤を使用することによってチューブレスホイールとして使用可能なリムです。 
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一般的なクリンチャーのリムと見た目は変わらないように見えますが、リムのサイドに溝があり中央部は凹んでいます。価格も手頃なものから生産でき、軽量にもできるので最近はチューブレスレディーのリムが増えてきています。 

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チューブレスレディーのリムにチューブレステープを付けた状態です。手軽にチューブレスホイールとして使用することができますが、その際は必ずチューブレステープ・バルブに加え、シーラント剤を使用してください。時々シーラント剤を入れないという話を耳にしますが、あくまでチューブレスレディーのリムはこの3点を使用することによってチューブレスホイールとして機能するようになっています。

また、シーラント剤を使用していれば小さな穴があいても塞いでくれます。シーラント剤でもふさがらない大きな穴の場合は、クリンチャーのようにチューブを入れて走行できるので困ることはあまりないでしょう。

◆チューブレスホイールのリム  
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チューブレスレディーとの違いは、リムに穴が開いておらず、チューブレステープを使用する必要がない点とリムの剛性が高い点です。チューブレスレディーと同様リムの両サイドには溝があり、中央部分は凹んでいます。
 
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最後にクリンチャーのリムです。 
両サイドに溝は無く、中央部分も平坦になっています。 

3つを比べると…。
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チューブレス、チューブレスレディーのリムの端には溝がありますが、クリンチャーのリムにはありません。これは、チューブレスタイヤのシール層がタイヤの内側にしかないので、タイヤをホイールにはめた際にしっかりと密閉出来るようにするための構造です。

別の角度からみるとさらに分かりやすいかと思います。
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クリンチャーホイールは溝も無くリムの中央部分も平坦になっています。 
溝がないクリンチャーのリムはチューブレステープ、シーラント剤を使用してもタイヤのすき間から空気が必ず漏れてしまいます。このすき間はシーラント剤では塞ぐことが出来ません。
 
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チューブレスリムはサイドに溝があり、中央部分は凹んでいます。
この凹みはタイヤをはめる際にビートをこの中央部分におとしてはめやすくするためのものです。

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このように、クリンチャーリムでもスポーク穴が開いていないリムもありますが、こちらのリムの場合もサイドに溝が無いので必ず空気は漏れてしまいます。

タイヤの取り付け方法
 
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まずタイヤのビート部分、リムに専用のフィッティングローションか石鹸水を塗布します。ワックスなど違うケミカルを使用するとタイヤの劣化が早まる場合がありますので注意してください。

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可能であればタイヤレバーは使用しない方がいいです。通常のタイヤレバーを使用するとタイヤ内側のシール層を傷つける場合があるので危険です。使用する場合は、各メーカーから販売されているチューブレスタイヤ専用のタイヤレバーを使用するようにしてください。 

◆IRC tireメーカーの取付方法です。

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最初にリム、ビード部を中性洗剤等の石鹸水を塗布してください。塗布後、一方のビードをバルブの 反対側付近よりリム底にはめ込んでいき(図1)、最後にバルブ付近をはめ込みます(図2)。
※リムフィットが完全でない場合、ビード部分からエア漏れを起こします。


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もう一方のビードをバルブの反対側付近よりはめ込みます。この時最初に入れた側のビードが、 後から入れようとしている側のビードがリム底に入るのを妨げるので(図3)、はじめに入れた側の ビードを持ち上げるようにして、後から入れようとしている側のビードをリム底に落としていきます(図4)。 この作業を全周にわたって行い、最後にバルブ付近ではめ込みを完了します。


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両サイドともリムラインがリムに沿って均一に現れるよう、確認しながら空気を入れます(図5・6)。 800kpaくらいまで空気を充填してもリムラインが出ない場合は、一度空気を抜き、タイヤとリムを 均一にフィットさせてから再度、空気を充填してください。最後にタイヤ内圧を適正値に調整し、 ご使用ください。


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リムフィットが完全でない場合、ビード部分からエア漏れを起こします。 エア漏れを起こしている場合は(図7)のように石鹸水の泡が出てきます。 その場合は一旦、エアを抜き、両ビードを落としてから再度リム、 ビード部分に十分に石鹸水を塗布して頂き、エアを充填してください。 その後改めて空気漏れチェックを行ってください。 (図8)のようにリムの中でビードがきちんとフィットしていないとエア漏れとなります。 きちんとリムフィットさせるためにも必ず石鹸水をご使用頂き、リムフィットしてください。


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リムとタイヤの境界部分に石鹸水を吹きかけ、空気の漏れがないかを確認してください。 空気が漏れている場合は、漏れている箇所から泡が発生します。 その場合は次の手順でやり直して下さい。 両方のビードを外して浮かし、すき間に石鹸水を吹きかけてから再度組み付けてください(図9)。 空気を充填し、再度泡が出ないことを確認してから、ご使用ください。 リムフィットが完了しましたら、きれいな布等で石鹸水を十分ふき取ってください。


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まずタイヤの空気を抜き、両側のビードを落としていきます。(図10)
※両側のビードを落として頂いた方が容易です。
尚、MTB用は片側のビードのみを落として頂いた方が容易です。

左手(右手)でバルブ付近のビード部分を保持します。(図11)


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左手(右手)を保持したまま、右手(左手)で外したい側のビードをリム底のセンターに落としてください。
きちんとリム底のセンターに落とせば左手(右手)で保持しているビード部分に余裕が出てきます。
(図12)


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バルブ付近から落とした側のビードをリムから外します。(図13)
もう一方のビードも同様にリムから外します。


チューブレスレディタイヤの取り付け方法 組み付け1タイヤを組み付ける前に最初にリム、ビード部にフィッティングローションを塗布してください。使用前にシーラントをよく振ってからお使いください
(図1)。


バルブの付いている反対側からタイヤをはめ込んでください。
同様にもう一方のビードもはめ込んでいき、バルブ付近までタイヤビードをはめ込んでいきます。

チューブレスレディタイヤの取り付け方法 組み付け2ビードを最後にはめ込む前に適量のシーラントをタイヤに挿入してください(図2)。


シーラントがこぼれないようにビードをはめ込んでください(図3)。


ビードを上げる為に全周に渡ってビードを軽くもんでください(図4)。


タイヤ全周に渡ってシーラントが行き渡るようにホイールを回転させてください(図5)。

チューブレスレディタイヤの取り付け方法 組み付け350psi/3.5bars 程度空気を充填し、リムラインが出たことを確認し、エア漏れが無いことを確認し、適正空気圧にセットして使用してください(図6)。

 

※嵌合時はリム、及びビード部にフィッティングローションを塗布することを強くおすすめします。作業性が大幅に改善され、またリムフィットが均一で確実になります。




チューブレスタイヤの種類
タイヤにもUSTチューブレス、チューブレス、チューブレスレディー、チューブレスイージーなど様々な名称があります。各メーカーの使用説明書をかならず確認してください。 
 
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手順通りに進めればタイヤをはめる事も、タイヤのビートを上げる事もフロアポンプで可能です。最近は、チューブレスタイヤを簡単に装着可能なチャージポンプ機能が付いたフロアポンプが各メーカーから発売され、より装着が楽になりつつあります。 

◆TOPEAK JoeBlow Booster 

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実際に使ってみたところを動画にしました。



チューブレスホイールも低価格でパフォーマンスの高いモデルが多数発売されています。

 
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◆A-CLASS ALX473 1400g ¥46,000(税別)

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◆NOVATEC JETFLY 1,455g¥69,800(税別)

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 ◆DT SWISS PR1400 DICUT OXIC ¥162,000(税別)

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◆crankbrothers ZINC ¥92,800(税別)ディスクロード用ホイール

このように用途、予算に合わせて様々なホイールを選べるようになっています。
チューブレスタイヤの恩恵は高いので、ホイールをアップグレードしたい時にはおすすめです。当店では日頃からスタッフがチューブレスホイールを愛用しており、試乗用ホイールもご用意しております。
まずは体感していただければと思いますので、お気軽にお声掛けください。

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K&M CYCLE
【南船場店】
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e-mail:kandmcycle4@gmail.com
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定休日:毎週水曜日